今ここに意識を向け、今この時を感じ、受け容れて、より充実して生きる
それがマインドフルネス。
心にしなやかな強さを養うことのできる、現代人が身につけたい在り方です。
マサチューセッツ大学医学校名誉教授 ジョン・カバット・ジン博士が提唱したマインドフルネス瞑想は、企業での研修や医療の場など、あらゆる分野で注目されています。
瞑想と聞くと、私たちは宗教的・スピリチュアルな印象を抱いて、なんとなく敬遠しがちですが、マインドフルネス瞑想は、宗教的な要素を除いて、世界中の誰もが取り組めるものです。
アメリカを中心に研究が進んでいて、科学的に効果が実証されていて、精神疾患の治療の方法として用いられるほど!
効果が実証されていることにしか手を出さない、実利主義とされるアメリカで、人々に広く受け入れられています。
なんか胡散臭い…と敬遠するにはもったいないくらいたくさんの、科学的に裏付けのある効果が得られるのです!
それも無料(笑)。
マインドフルネスとは?
マインドフルネス瞑想とは?
そしてマインドフルネス瞑想で得られる身体的・精神的効果について詳しくご説明していきましょう。
マインドフルネス瞑想とは何?
マインドフルネスとは、日本マインドフルネス学会において
今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること
と定義される在り方のことです。
ちょっと分かりにくいでしょうか?
マインドフルネスで目指すのは、今ここにいるということを感じ、今あることを自分の主観でジャッジせず、あるがままを受け容れるという状態です。
私たちはいつも、複数のタスクを同時進行させるのに神経を尖らせたり、予定に追われて常に先のことを追いかけています。
忙しく流れの早い現代に生きるには、それはしかたのないことなのかもしれません。
また、いつまでも過ぎ去った出来事に捉われて思い悩んだり、先々のことを先取りして心配したりもします。
でも、気づいていますか?
これらの多くは、今目の前にないこと。
今心臓を動かし、息をして生きているはずの私たちが、今を生きていないって、悲しいことです。
目の前でお子さんが「ねーママー!」とかけてくる声を、ほかのことに気を取られながらなんとなく聞いていませんか?
スマホやSNSも、今ここに存在する妨げになっているように思います。
また、同時進行で複数のことを行ったり、考えたりすること、
そして驚くことに、ぼーっとしているときに次々と頭に浮かんでくる思考も、
脳を使い、エネルギーをたくさん消費して、疲れさせているのだそうです!
眠ったはずなのに、休んだはずなのに疲れが取れない、というのは、ここに理由があります。
脳が疲れているだけならまだしも、積み重なっていくことで、自律神経を狂わせ、体にも悪影響を及ぼしていきます。
もうひとつ。
私たちは、日々起こる出来事を、良い/悪い、正しい/誤っている、こうしなければいけない、などと、知らず知らずのうちに自分自身の判断基準で判断(ジャッジ)をしています。
あるがままを受け容れられないということが、イライラ、ストレスを招き、ひいては自己肯定感の低下にもつながっていきます。
これらのことを、一気に解決!
脳の疲れを解消して、目の前に起こっていることを感じきり、受け容れ、今ここにあるしあわせを感じ取れるようになる、というのが、マインドフルネス。
そしてマインドフルネス状態になるために、誰でも簡単に取り組めるトレーニング方法が、マインドフルネス瞑想なのです!
※注意!
混同している方も多いかもしれませんが(私もその1人でした)、
マインドフルネス=瞑想
ではありません。
マインドフルネス状態になるための、数々ある方法のひとつが、マインドフルネス瞑想ですので、覚えておいてくださいね。
マインドフルネス瞑想で
脳を休め、
気づく力を養い、
あるがままを受け容れることができるようになります。
そして、こんなにもたくさんの効果があることが、研究によって明らかになってきました。
マインドフルネス瞑想の効果
マインドフルネス瞑想に関する研究により明らかになった効果が、書籍等により発表されていますのでご紹介します。
マインドフルネス瞑想では、
ひとつのことに集中する
ということをしていきます。
これによって、
脳が変わります!
具体的には、マインドフルネス瞑想を続けることにより、ストレホルモン・コルチゾールが減少、幸せホルモン・オキシトシンが分泌され、ストレスによって損傷・萎縮する海馬をはじめとする脳の組織の大きさが変化します。
脳が変わることによって、
心と体が変わります!
・心が落ち着き、リラックスできる
・思いやりの心が育まれ、人間関係が良好になる
・ストレスの軽減
・不安の軽減
・学習能力・記憶力・集中力UP
・仕事や作業、学習の効率が上がる
・スポーツ選手のパフォーマンス向上
・頭がクリアになり、洞察力が上がる
・自己肯定感、幸福感が高まる
・五感・直感がさえる
・睡眠の質が向上する
・免疫機能の向上
・慢性疼痛の改善
・不安障害等、精神疾患の症状改善
マインドフルネス瞑想を始めたからといって、すぐにこれらがはっきりと分かるような大きな変化がおこるわけではありませんが、数週間続けてみると、あれ?そういえばという感じで、
ちょっとのことでイライラしなくなった
心が穏やかになった
人づきあいが楽になった
という違いを感じられるようです。
マインドフルネス瞑想のやり方
その効果のすごさに、何か特別なことをするのでは?と想像してしまうマインドフルネス瞑想。
実際にどんなことをするのでしょうか?
詳しくは
のページで詳しくご紹介していますのでご覧いただけたらと思いますが、こちらでもマインドフルネス瞑想の実践方法をご紹介します。
1・できれば静かで暑過ぎず、寒過ぎず、気が散る要素の少ない場所を選びます。
2・楽に座ります。
椅子に座っても、床に座っても、背筋がスッと伸びて楽に座れればOKです。
3・目を閉じるか、半眼に。
4・呼吸に意識を向けてみましょう。
楽で自然な呼吸でOKです。
吸う息・吐く息で感じる鼻の感触、おなかの収縮を、丁寧に観察します。
5・呼吸から気が逸れても大丈夫!
雑念が湧いて気が逸れたことに気づいて、また呼吸に意識を戻す。
その気づきが脳のトレーニングになるのです!
6・まずは5分を目標に。
徐々に15分~20分くらい続けていけるようにしましょう。
ここでは呼吸を意識する方法をご紹介しましたが、注意を向ける対象は、数を数える、マントラ(言葉)でもかまいません。
長くやればやるほどいいのか?というと、それを実証する研究結果はまだ出ていません。
長くやるよりも、短時間でいいから続けていくことで、効果を現すようです。
頭に1個の仕事しかさせないゲームのような感じで楽しく取り組んでみましょう!
精神疾患をお持ちの方は、主治医の先生にご相談いただくことをお願いしたいですが、マインドフルネス瞑想は、大半の人にとって安全・簡単に取り組める方法です。
通常の瞑想と違いはあるの?
瞑想には、宗教的なもの、自己啓発的なもの、さまざまな種類があり、一概にひとくくりにできるものではありません。
感情・感覚の制御、雑念をなくす、無になる、チャクラを整える、さらには悟り、解脱を目的としていることがありますが、マインドフルネス瞑想では、それらのことを目的としていません。
マインドフルネス瞑想が目指すのは、
ひとつのことに注意を払う
↓
雑念が湧き上がって注意が逸れる
↓
そのことに気づく
↓
再び注意を戻す
ということによって、脳を鍛えること。
いってみればマインドフルネス瞑想は脳の筋トレです!
実際にマインドフルネスをやって感じた効果
私は数年前に、ヨガの先生がお話されていたのをきっかけにマインドフルネス瞑想を知りました。
ヨガティーチャートレーニングの中でマインドフルネスの学びがありましたし、書籍を読んだり、マインドフルネス瞑想を研究されている方のワークショップも何度か受講して、実践を積み重ねてきました。
そのうえで感じること。
まず、キレることが格段に減りました。
幼いころから感受性が豊か…というか感情の起伏が激しかった私は、特に育児の真っ最中は、ちょっとのことでイライラして泣いてわめいて大騒ぎ!でしたが(笑)、このごろはプチイライラはときどきあるものの、大きなイライラ、ましてやキレるということは、ほぼなくなったと思います。
そして、寛大になれたと思います。
以前は人との考えの相違を受け容れられないことが多かったですけど、そんな考えもあるよね、と違いを認められるようになりました。
なので、我慢することが減り、人間関係が楽になりました。
普段、お客様や知人と話をしていてお悩みをお聞きすると「瞑想してみてはどうですか?」と(僭越ながら)アドバイスすることが多いです。
私自身がマインドフルネス瞑想によって、物事の受け止め方が変わって、心が楽になったと感じるから。
私はマインドフルネス瞑想の専門家ではありませんが、ひとりの実践者としてマインドフルネス瞑想の効果を実感しています。
マインドフルネス瞑想の効果は、緩やかにやってきます
近年、なぜここまであちこちでマインドフルネスという言葉を耳にするのでしょうか?
それは、私たちが今ここに意識を向けるということが難しく、やるべきことや思考があちこちに散らばって、心身が疲れてしまっているからかもしれません。
心にも体にも素晴らしい効果が得られるマインドフルネス瞑想、短時間からでもいいので、とにかく始めてみましょう。
呼吸に意識を向け続けるというのはけっこう難しいです。
注意は簡単に逸れます(笑)
でも前述したように、マインドフルネス瞑想は、注意を向ける→注意が逸れる→逸れたことに気づく→また注意を戻す、ということをして、脳にひとつの仕事だけをさせて脳を休めるということが目的なので、注意が逸れてもいいんです。
マインドフルネス瞑想の効果は、緩やかに訪れます。
マインドフルネス瞑想が、よりよく生きる一助となりますように。