ここ数年、GoogleやFacebookといった大企業なども実践されているということが知られ、書店でもたくさんの本を見かけるようになった、
マインドフルネスということ。
メンタルにいいらしい、ということはなんとなく知ってはいるし、瞑想をするらしい、ということも分かるけれど、
マインド…?フル…?ネス…?
具体的にどういう意味なんだろう?
とモヤモヤしていませんか?
このページでは、
マインドフルネスとはどういうことなのか?
マインドフルネス瞑想にはどんな効果があるのか?
どんな方法でするのか?
分かりやすーくご説明していきます。
マインドフルネスという考え方を知り、マインドフルネス瞑想を実践すると、
コロナ禍や仕事、人間関係と、とかくストレスの多い今、ぐっと生きやすくなるはずですよ。
マインドフルネスとは何?
マインドフルネスとは、いったいどういうことでしょうか?
日本マインドフルネス学会では、
マインドフルネスとは
今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること
と定義しています。
これは、もともとは仏教に基づいた考え方ですが、宗教的な要素は取り除き、世界中誰でも取り組めるものとなって、近年アメリカを中心に精神医学で研究され、医療・ビジネスの場で活用されています。
…ますます分からなくなってしまいましたか?
詳しく説明していきましょう。
私たちは日々の生活の中で、さまざまな問題や悩みを抱えますが、その大半は、今ここで起こっていないことといわれています。
過去のことにいつまでも捉われたり、決まったわけでもない未来のことで不安になったり。
今実際に起こっていないことで、心が、厳密にいえば脳が動かされているのです。
脳は、体重の2%ほどの重さしかありませんが、体全体で消費するエネルギーの20%も消費しています。
さらに、そのうちの60~80%は、脳の意識的な活動以外のこと…ボーっとしていてもなんとなくよぎっていること、いつも捉われている悩み、といったことに使われているのです。
休日、家で休息を取ったり、気分転換に遊びに行っているにもかかわらず、頭の中では仕事のことや、こんなことが起こったらどうしよう、といった不安が無意識にグルグルしています。
実際に起こっていないことで大量のエネルギーを使ってしまっているということです。
まさに休んでいるはずなのに休めていないといった状態。
せっかく今大切な人と一緒にいるのに、大好きなことをしているのに、心ここにあらずで、目の前にないことに振り回され、おまけにエネルギーを消費して疲れているなんて、ものすごくもったいないことじゃありませんか?
そこで!
かけがえのない今この瞬間に私はいるんだ!と意図して、今感じる必要のないストレスに心を持っていかれないようにしよう!
というのがマインドフルネスです。
ものすごくざっくりとひとことで言うと、
脳を休める方法です。
また私たちは、日々起こる出来事を、良い/悪いとか、正しい/誤っている、などと、自分自身の判断基準に則って判断(ジャッジ)をして過ごしています。
でも広い視点で見れば、価値観は多様で、ひとつではありません。
マインドフルネスにおいては、起こる出来事や物事を、主観で判断せず、ありのままを観て、事実だけを捉えます。
例えば、窓を開けて目を閉じて瞑想をしているとき、どこからかタバコのにおいがしてきたとします。
こんな思いが浮かぶかもしれません。
「あータバコくさいな。隣のおうちの○○さんかな。このあいだタバコを吸いながら歩いていたのを見たし。副流煙は体に悪いじゃない。迷惑だな。」
そのタバコは隣のおうちの○○さんが吸っていると決まったわけではないのですが、人のフィルターを通すと、心の中にあることないことが出てきてしまったりします。
起こっている事実は「タバコのにおいがする」ということ、ただそれだけ。
事実だけを捉えれば、隣のおうちの○○さんへの怒りが起こる要素はありません。
マインドフルネスは、今この瞬間のありのままの状態に気づき、客観的・俯瞰的に捉え、適切な対応をする力を育む方法です。
今この時を感じ切り、よりよく生きるための方法でもあります。
脳の疲れを取る、
ありのままの状態に気づき、今を受け容れ、よりよく生きる力を養う、
そんなマインドフルネスですが、脳の働きを練習することで得られます。
私たちは日頃、たくさんの物事を同時に行ったり考えたりしています。
これをマルチタスクといいますが、
たったひとつのことをする…シングルタスクをすることで、普段あれこれと動いている脳を休ませ、マインドフルな状態に導くことができます。
いろいろな方法がありますが、いちばん簡単で、今これからでも始められる方法、それが瞑想です。
マインドフルネス瞑想によってさまざまなメリットが得られるということが、脳医学の分野における臨床実験で明らかになってきています。
瞑想!?
瞑想が脳にいいの!?
瞑想が医学的に研究されているの!?
驚かれたあなたに、マインドフルネス瞑想にこんなにたくさんの効果があるということを、次にご説明していきますね。
マインドフルネス瞑想の効果
マインドフルネス瞑想を行うことで、思考の暴走を鎮め、脳を休息させることにより、以下のような効果があるということが、マインドフルネス瞑想に関する研究や書籍で発表されています。
・心が落ち着き、リラックスできる
・思いやりの心が育まれ、人間関係が良好になる
・ストレスの軽減
・不安の軽減
・学習能力・記憶力・集中力UP
・仕事や作業、学習の効率が上がる
・スポーツ選手のパフォーマンス向上
・頭がクリアになり、洞察力が上がる
・自己肯定感、幸福感が高まる
・五感・直感がさえる
・睡眠の質が向上する
・免疫機能の向上
・慢性疼痛の改善
・不安障害等、精神疾患の症状改善
個人差はありますが、マインドフルネス瞑想を数週間続けることで、上に挙げたような変化が現れるといわれています。
こんなにたくさんの変化が起こるマインドフルネス瞑想。
ものすごく難しい瞑想法なの?
…と思いきや、方法はとってもシンプルで、このあとすぐに始められるようなことなんです。
マインドフルネス瞑想の方法
初めての方(初心者はこちらから)
それでは早速、マインドフルネス瞑想をやってみましょう!
0 瞑想の準備をする
瞑想をする場所はどこでもOK。
始めのうちは、静かで気が散る要素が少なく、リラックスしやすい場所がいいでしょう。
始める前にヨガやストレッチで軽く体を動かすと、体の余分な力が抜けてリラックスしやすくなります。
1 椅子または床に座る
座り方に、これといった決まりはありません。
しばらくの間安定して座っていられるような、背筋がスッと伸び、楽に呼吸ができる方法で座りましょう。
椅子に座っても、床の上で正座をしても、あぐらでも、つらくなければヨガの座法でもOKです。
肩の力をぬいてリラックスしましょう。
リラックスしすぎて瞑想ではなく寝てしまう、という問題がありますが(笑)、仰向けに横になって行ってもかまいません。
2 目は閉じるか、半眼に
脳の働きを減らしていくのが目的の瞑想なので、目は閉じて、視界を遮ります。
目を閉じると不安を感じる方は、半眼にして、斜め下辺りをぼんやりと見ましょう。
3 呼吸に意識を向ける
無理に呼吸を深めたり、腹式呼吸をしなくても大丈夫。
あなたにとって楽な、ゆったりと自然なペースで呼吸をします。
呼吸に意識をしてみましょう。
鼻先やおなかなど、空気が出たり入ったりするのを感じられる部分に意識を向けてみます。
吸うとき・吐くときの空気の温度の変化や、空気を通る鼻やおなかの感触、呼吸によっておなかが膨らんだりしぼんだりする様子を追っていきましょう。
4 ここ大事! 気が散ってもOK!
瞑想というと、頭を空っぽにして、無になれないとダメと思っている方は多いかもしれません。
だから瞑想が苦手で、やりたくないと思う方もいるでしょう。
でも実は、雑念が湧き上がって気が散ってもOKなんです!
瞑想中に雑念が湧き上がって呼吸から意識が逸れる
↓
そのことに気づく
↓
再びそっと呼吸に意識を戻す
ということが、脳を鍛えるのに役立つそうです!
呼吸に意識を向けているのに、ほかのことを考えてしまうことを悪いことだ、間違いだ、とジャッジせずに、ただこんな思考が浮かんだな、とありのままを受け容れるというのも、マインドフルネス瞑想の大切なことです。
5 最初は1分でもOK!
目を閉じて、ただ呼吸を意識する、ということに、初めは慣れないかもしれません。
まずは1分から始めてみましょう!
そこから徐々に5分やってみることを、当面の目標にしてみましょう。
アラームをかけて、時間の長さをつかんでみてもいいですね。
6 呼吸以外のことを意識を向ける対象にしてもOK
意識を向ける対象は、呼吸でなくてもかまいません。
・ひと呼吸ごとに数を数える
・分かる方はマントラを心の中で唱える
マントラでなくても、何かひとつの言葉を唱えてもOKです。
私のオススメは「ALOHA」
「アロー」で息を吸って、「ハー」で吐く、を繰り返すと、呼吸とシンクロさせやすいですし、ちょっとしあわせな気持ちになれます(笑)
・ハミングする
息を吐きながら「ンー」に濁点がついたような音を頭に響かせてみましょう。
音の響きによって集中しやすくなるので、呼吸から意識が逸れることにきまり悪さを感じてしまう方にオススメです。
中級者以上の慣れてきた方
5分ほど呼吸に意識を向け続ける、ということを苦にならずにできるようになったら、時間をもう少し伸ばし、15分から20分ほど行ってみましょう。
さらに慣れてきたら、職場や電車の中など、周りに音や人が存在する状態でもできるようになる方もいるでしょう。
ほかのマインドフルネス瞑想法として、
・歩く瞑想
足裏の感覚、足を上げる感触、足を着ける感触を味わいながら歩く瞑想法です。
・食べる瞑想
食べ物の香り、唇に触れる感覚、味、食感、のどごしなどを繊細に味わいながら食べる瞑想法です。
・ボディスキャン瞑想
仰向けになり、体の各部位ひとつひとつの感覚を確かめていく瞑想です。
マインドフルネス瞑想を知るおすすめ書籍
マインドフルネス瞑想は、脳医学的な研究がされていることなので、確かな情報をご提供するため、これまで読んできたマインドフルネス瞑想に関する書籍を参考にこの記事を作成しました。
その一部の書籍をご紹介します。
マインドフルネス瞑想について、さらに理解を深められると思いますよ。
世界のエリートがやっている 最高の休息法/久賀谷亮
「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方/川野泰周
1日10分で自分を浄化する方法 マインドフルネス瞑想入門/吉田昌生
マインドフルネス瞑想ですぐに効果を出そうと気負わず、まずはやってみよう
マインドフルネス瞑想を始めても、すぐに心や体の変化が現れることはないでしょう。
数週間から数か月経って「あれ?そういえば…」と気づくかもしれませんし、周りの方に「何か変わったね」と言われるかもしれません。
だとしても、数々の恩恵をもたらしてくれるマインドフルネス瞑想は、ストレスフルな社会に生きる私たちにとって大切なスキルになるはずです。
すぐに効果を出さなくちゃ!と気負わず(そのジャッジも外してしまいましょう)、楽しんで行うことがいちばんのポイントです。
まずはやってみましょう。
そして、続けてみましょう。
マインドフルに、存分に今この時を楽しめますように。